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クール宅急便問題でも、やっぱりヤマト運輸が勝ち続ける

ヤマト運輸のクール宅急便が一部、不適切な管理をされていた問題で、佐川急便でも同じような問題が発生していたことがわかった。

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佐川急便は、クール便について、一部、常温で配達するなど、適切な温度管理が行われていなかったケースが確認されたとして、営業拠点などの調査を始めた。

FNNニュース: 佐川急便、クール便について一部常温配達するなどのケース確認

食材偽装(阪急阪神ホテルの社長は「誤表記」と強弁していたが)の問題同様、業界全体で常態化していて、一社で発覚すると他社でも芋づる式に問題が明らかになっていく。

「味は変わらないからいいではないか」という意見もあって、それはそれで半分同意なんだけど(追記:半分は不同意、食べ比べたらわかる)、問題はやはり、 そうやって「騙していた」という部分だ。人を騙そうとする不誠実な料理には、お金を払いたくない。

それはさておき、今回のエントリーで言いたいのは、そうした不誠実さの問題ではなく、ビジネスモデルの構造上起こる、次のことだ。

やっぱりヤマト運輸が勝ち続ける

クール便と食材偽装の問題は、ビジネスモデル上の問題で言えば、まったく種類の違う問題だ。流通のようなインフラ事業、特に個別に宅配する宅急便は、固定費がバカ高い。地域に一個運ぶのも、100個運ぶのも、実はそれほどコストは変わらない。一個だから100分の1というわけにはいかないのだ。

こうした高固定費の事業においては、とにかく規模の経済が効く。今や佐川急便はAmazonの配送からは撤退してしまったが、これもまた、コスト構造によるものだった。

配達員のほとんどが社員であるヤマトでは、配達する荷物が増えるほど効率が上がる。だが、下請けに依存する度合いが高い佐川では、数量の拡大は外注費増に直結する。その分だけ、アマゾンからの値引き要求の打撃が大きかったとみられる。佐川は、今後は原点である企業間物流に活路を求める。

要求高くて対価は低い 佐川がアマゾンとの取引撤退 宅配業界大揺れ+(2/2ページ) - MSN産経ニュース

こうした状況において、クール便への質的要求が高まれば高まるほど、運用するための固定費が高まり、佐川急便を含む多くの企業が脱落することになる。クール便を提供できるのはもはやヤマト運輸だけ、ということにもなりかねない。