LIFEHACK STREET 小山龍介ブログ

小山龍介公式ブログ

企業内の連携を図り一体感を醸成するための共通言語

前回の記事(ビジネスモデルという構造に目を向ける - LIFEHACK STREET)につづいて、11/14に行われたクリエイティブ・シティ・コンソーシアム主催のプラチナエッグ・ハンティング・セミナーのお話。

 

企業文化よりも優勢な職種文化

優れた企業には必ず、その会社で共有されている特殊な言葉がある。自動車産業はなかでも多くて、ホンダの「ワイガヤ」、トヨタの「なぜを5回」など、社員の行動様式そのものを規定しているし、その企業文化をあわらすものになっている。

こうした言葉の重要なポイントの一つはもちろん、その企業の独自性を確立することにつながるという点である。他社にはない言葉は、たしかにその会社らしさを生み出してくれる。(だから、弊社ブルームコンセプトでも、なにか言葉をつくらなきゃと思っている。「段取り8割、仕事10割」みたいな、矛盾を含んだ感じのものを(笑))

企業での研修を行っていて感じるのが、多くの企業で、その企業文化よりも先に、営業部門の文化、技術部門の文化が全面に出ていることが多いということ。

だから同じメーカーであれば、その会社の営業とエンジニアよりも、他の企業の営業同士、エンジニア同士のほうが、同じ会社の人のように感じてしまう。つまり、企業文化よりも、職種文化が先立ってしまうのである。

それくらい、職種ごとの断絶が強いということなのだ。

異なる職種で通じる言葉

そのため、職種が異なるととたんに、日本企業に特有だと言われるあうんの呼吸が通じなくなってしまう。同じ会社に所属しながら、赤の他人のようなのだ。家族経営だと言われた時期もあったけれど、今は家庭内別居のような状態になっている。

その点、企業独自の言葉というのは、社内で誰もが理解しているため、職種を超えて話が通じる。稲盛さんの京セラフィロソフィーも、それが社員の共通理解として徹底的に教えられているがゆえに、効果を発揮している。

ビジネスモデルキャンバスはその意味で、あらゆる業界で有効な共通言語である。どの業界にもビジネスモデルは存在し、その全体像を掴む必要がある。フィロソフィーというほど色濃いものではないものの、しかし確実に職種間のコミュニケーションを円滑にしてくれる。

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この図で言えば、ブルーのところがエンジニア系の領域。価値を生み出すための研究開発や調達、生産活動、またリソースとしての知的財産、工場のラインなどが主要な領域になる。

このブルーとなかなか協働できないのがオレンジの企画系、営業系の領域である。ここでは顧客ニーズの把握と関係性の構築、顧客へのチャネル確立などにフォーカスされる。営業が無理な依頼を安直に引き受けてエンジニアが悲鳴をあげるといったことは、よく見る風景だろう。

そうした現場を理解していないのが、グリーンの経営管理部門。収益やコストといった数字で把握する彼らの行動は、現場から総スカンを食らったりする。それはもはや、限りなく喜劇に近い悲劇だ。

企業内の連携を図り一体感を醸成する

ビジネスモデルキャンバスは、そうした職種間のコミュニケーションの断絶を克服し、企業に一体感を生み出す共通言語として活用できる。このキャンバスの中で、自分のはたらきが全体の中でどのような位置づけなのか知ることによって、自分のすべきことや価値も見えてくるし、また他の職種の重要性だって理解できるだろう。

そうして企業の中に共通の、共有された〈場〉を作っていくツールの一つとして、活用できるのではないかと思っている。