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戦略とは「捨てる」こと。そのために必要な未来からの視点

富士フイルムの躍進は、ほんとうにすごい。これまでの写真フイルムという成功体験からいち早く脱却し、成功が約束されない新しい分野へと打って出た。産業自体が衰退していく中で、ずるずると決断を遅らせて行ったり、既得権益の確保に汲々とする会社が多い中で、ここまで大胆な決断ができたのはどういう理由からだろうか。

東洋経済オンラインでV字回復の立役者である古森会長のインタビューが載っていた。読んでみてあらためて、戦略とは「捨てる」ことなのだと再確認した。

古森会長はこんな風にいう。

 

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──成功する新規事業を見極めるのは難しいのでは。

会社には、技術基盤、財務基盤、ブランド力、質の高い社員という経営資源がある。まず自分たちがどのような技術や資源・強みを持っているのかを整理した。そして、それが適応できる市場、商品は何があるか。既存市場と新市場、既存技術と新技術で4象限のマトリックスを作り、それぞれの事業を区分けした。

こうして、液晶用フィルムに代表される高機能材料事業や、子会社の富士ゼロックスが手掛ける複合機などドキュメント事業、後に医薬品や化粧品にも拡大したメディカル・ライフサイエンス事業などの6分野を新たな成長の軸に据えた。

富士フイルムはなぜ、大改革に成功したのか | Books Review | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 市場全体をマトリックスで捉え、そこで手がけるべき分野を6つに絞り込んだ。それは逆に言えば、この6つ以外は捨てたのだ。これまでの稼ぎ頭だった写真用フィルムも、見切った。

これはなかなかできることじゃない。

捨てる決断をするためにはどうすべきか。重要なことは、未来の市場全体を捉えることである。未来からの視点で考えなければ捨てることはできないのだ。

弊社ブルームコンセプトのイノベーションワークショップでも、こうした「未来から見る」というプロセスを必ず取り入れている。そうして、これまでの過去の成功体験を取り払って、曇りなき眼(まなこ)で見直す。そうすることでしか、過去を「捨てる」ことはできない。

通常の業務のなかでは(つまり戦術レベルの議論であれば)、常に過去が参照され、過去の比較の中で未来が議論される。それでは永久に決断できない。「経営判断」や、その結果生まれる「戦略」とは、つねに不確実な未来からの冷徹な視線が含まれている。

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