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オムニチャネル戦略の3つの先進事例

 デジタルカメラを買う時なんかもそうなんだけど、店頭で実機を触ってみて、実際の購入はウェブで、なんてことが多い。値段も安いし、持ち帰る手間もいらない。翌日宅配ボックスに入っているという手軽さは、本当に便利。店頭で買うことがあるとすれば、すぐそのあとに使うというケースくらいで……。

という時代が訪れて、多くの小売店が「ウェブ排除」に動きました。他の店舗の値段に合わせると言っておきながら、「ウェブの価格は比較対象ではない」と言ってみたり、店頭での写真撮影を禁止したり。でもユーザーとしては不便極まりない。

 

ということで、最近のトレンドは、こうしたウェブとリアルのチャネルを融合していこうという流れ。先日のセブンイレブンの記事(セブンイレブンが進める「オムニチャネル」の課題と可能性 - LIFEHACK STREET)でも触れたような、オムニチャネル戦略である。

このオムニチャネル戦略について、事例をあげながら紹介されている記事があったので、取り上げてみたい。この記事では3つの事例(電通レイザーフィッシュが解説! オムニチャネルでできる3つの新しいユーザー体験 | Web担当者Forum)を紹介している。

ユーザー体験におけるバリアをなくす/ジョンルイス

オンラインの場合、キーワードを入れて探していけば、欲しいものがだいたい見つかる。しかし実際の店舗の場合、人に聞くなど、手間のかかることをしなければ見つけられないケースがあった。そこで、ジョンルイスでは、Webサイトの改善、モバイルサイトとアプリケーションの構築、店舗内にWi-Fiを設置などを含めた6つの施策を行った。

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電通レイザーフィッシュが解説! オムニチャネルでできる3つの新しいユーザー体験 | Web担当者Forum

 一番わかりやすいのがこれ。WiFi飛ばしてネットに繋がるようにして、店頭の商品をウェブでも購入できるようにする。しかもQRコードを商品につけたり、ウェブのほうが安かったりと、積極的にウェブへと飛ばしている。「クリックアンドコレクト」という配送サービスは30%もの利用者なのだそう。

新しい体験を店舗で提供、タブレット端末でTVを操作できる新しいフロア/サムスン

ブルーゾーンと呼ばれる新しい販売フロアでは、大型のディスプレイTVの前に、タブレットが配置されている。このタブレットを使ってTVの操作ができ、自分が見たいシーンに応じた映像を消費者が選んでTVで流すことができる。これは消費者、企業両方にメリットがあるという。

電通レイザーフィッシュが解説! オムニチャネルでできる3つの新しいユーザー体験 | Web担当者Forum

 これはタブレットを使ってTVの機能が試せるというもの。お店の人が説明をして、というのを、タブレットで代替したわけですね。

店舗内の体験から店舗外の体験までをトータルでプロデュース/アウディ

この新しいカーディーラーでは、大型スクリーンの前に置いてあるタッチパネルで、自分たちが選んだホイール・カラー・オプションを奥の大型スクリーンに表示させることができる。表示された車は、360度さまざまな方向から確認でき、エンジンやインテリアなどの内部構造も確認できるという。

電通レイザーフィッシュが解説! オムニチャネルでできる3つの新しいユーザー体験 | Web担当者Forum

 これは、タッチパネルでオプションを選ぶと、最後に大型スクリーンに自分の選んだ車が映し出されるというもの。最近のコンピュータグラフィックの技術であれば、本物のような映像が体験できる。(とはいえ、あくまで映像だけど。)

いずれも、店舗設計の時点で、これまでの店舗とは大きく変更されているようで、興味深い。従来、購入までの動線を構築することが店舗設計の肝だったのが、これからは商品体験がメインとなってくる。オムニチャネルのトレンドにより、店舗はいよいよショールーム化していくことになるのではないかと思う。

そして店舗の変更とセットになるのが、店舗から誘導されたECサイトの整備である。

オムニチャネル戦略とは、こうしたチャネル主導のビジネスモデル変革なのである。

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