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未来からのバックキャストで開発されるトヨタのPHV

 

トヨタが公開した燃料電池車(FCV)。一回水素を補充すると500キロ走れるという。燃焼した後には水しか出ないという、「究極のエコカー」だそう。この夢の車を、2015年には発売開始するらしい。しかし当初は水素インフラも整っていないから、当然売れない。「ほとんど普及しない」とトヨタの役員さえ言う。

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「2015年時点で、FCVはほとんど普及しませんよ」とトヨタ役員は言い切る。

「プリウスの時と同じだと思っている」(同)

 初代プリウスの発売は1997年。HVの市場をゼロから立ち上げた。15年後の現在、少なくとも日本市場でHVは完全に定着している。FCV元年が市販を開始する2015年として、トヨタの目線は2030年にある。

トヨタが燃料電池車で狙う「プリウスの再現」 | 企業 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 イノベーションで重要なのは、こうした未来を想定しながらの開発だろう。短期的な戦術のレベルでイノベーションが起こることはまずない。長期的な視野に立ったときにはじめて、こうした取り組みができる。今やっていることの〈意味〉というのは、未来を見据えていないと見えてこないのだ。

Appleにスティーブ・ジョブズが復帰して最初に出した製品はiMacだった。このiMacはデザインもさることながら、電話回線をつなぐだけですぐインターネットにつなげられるパソコンとして売りだされた。その後のiBookは、Wi-Fi標準内蔵のノートパソコンとして開発された。

そこには、あらゆるコンテンツがデジタル流通する未来の世界が想定されていた。だからこそのネット対応であり、Wi-Fi対応だったのだ。そしてその流れは、その後のiPhone、iPadにつながっていく。

「ほとんど普及しない」というFCVを出すトヨタと、他社に先駆けてフロッピーディスクドライブやCD、DVDドライブを取り除いてしまうAppleには、そうした未来からの視点という共通点があるように思う。

 

↓自動車工場におけるリーン生産方式を詳細に紹介した本。マニアックですが、参考になります。 

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