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リーンスタートアップを可能にする「顧客との関係」

在庫や無駄を極限まで減らすリーン生産方式を起業に適用したリーンスタートアップにおいても、やはり顧客との関係がキーになる。

リーンスタートアップにおいては、アイデアをMVP(Minimum Viable Product=実用最小限の製品)と呼ばれるプロトタイプに仕上げて、少人数の顧客に試して反応を見るステップがある。その人たちがどのように使うのかを計測して、改良していく。この計測から学習のプロセスをできるだけ無駄なく行うのがリーンスタートアップである。

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「リーンスタートアップ」─小さな失敗を重ねて育てる:日経ビジネスオンライン

 このとき、試される少人数の顧客の立場に立って考えてみるとわかるが、「試される」というのは、気分のいいものではない。企業の利益のために、まだ不完全な製品を使うとなれば、クレームの対象にもなるだろう。にもかかわらずリーンスタートアップという方法が可能になるとしたら、企業と少数の顧客との間での信頼関係が前提となる。

ちょっと話は違うけれど、エイプリルフールネタのこんな話がある。ニコニコ動画をつくったドワンゴの川上さんの話だ。

いろメロミックスのサイトって,ユーザーが一番使うボタン(機能)は検索だったんですけども,それを押すと,「曲を探しに行く,あなたは旅に出ました!」とかいって,いきなりアドベンチャーゲームが始まるということをやったんです。最終的には,ドラゴンを倒してお姫様を助けるんだけど,「見事に助けました!」とだけ出て,そこで終わる。で,そのあとも曲が探せない,みたいな(笑)。

(中略)

半分は怒りのメールだったんだけども,残りの半分は絶賛で。最終的に1日で3~4万通のメールが来たんです。反響って意味ではもの凄くて,激怒している人も退会まではしなかったし,入会者はもの凄く増えたんです。だから,あれがニコニコの運営の原点だって言われれば,確かにその一つかもしれないですね。

ドコモがアップルになれなかった理由とは――iモード開発の舞台裏が語られる「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第14回は,絵文字の生みの親・バンダイナムコゲームスの栗田穣崇氏がゲスト - 4Gamer.net

ここでは、ある種の学習のプロセスが意図せず行われていた。こういう関係が顧客と築けるかどうか。たとえばグリーやモバゲーといったソーシャルゲーム会社が、そうした信頼関係を取り戻せるのかということも、ヒット商品を生み出せるかどうかということに関わってくるように思う。