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泊まれる公園「INN THE PARK」の可能性

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2017年に沼津にできた「INN THE PARK」という、公園内に宿泊できる施設。もともと少年自然の家だったところをリノベーションしたもの。R不動産などを手がけてきた馬場正尊さんのOpen Aが手がけている目玉は、すでにあった宿泊棟に加えて設置された、公園の中の球体型テント。

 

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窓からは外が見える。夜は真っ暗で何も見えなくなるけれど、昼間は日差しが差し込んできて気持ちがいい。球体だからそれほど圧迫感も感じない。電源も確保されていて、大きな電流を使うものでなければ、ここで使ったり充電もできる。ただ、デスクはないので、作業はできない。

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公園の中にはいろいろな遊具が設置されており、その新しさから、おそらくINN THE PARKのリノベーションにあわせて置かれたもののよう。まだそれほど多くなく、これからもっと充実していくのかもしれない。斜面を利用した滑り台があり、こうした地形を活かした遊具をさらに増やしていくと、その土地を楽しめるものになるのではないか。

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夏にはゲンジボタルがでるという沢。ゲンジボタルは西は2秒1回とあわただしく、東は4秒1回とゆっくり点滅をするらしいのだけど、ここ沼津のものは3秒1回という「折衷」したものとなっているらしい。嗜好も日本の平均と言われる静岡らしい。すごく気持ちのいい場所だけれども、タクシーの運転手さんいわく、「夏は蚊がすごそうだから、泊まるのはどうかな」と。

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このINN THE PARKの魅力のひとつ、サロン。ゆったりとしたスペースにリラックスできるソファーなどが置かれていて、心地よい。窓からは遠く、沼津港も見える。ちょうど10人ほどの団体が宿泊していて、大人数で食事をしたり会話を楽しんでいたりした。

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食事は、やや子どもが苦手とする内容かもしれない。地場の温野菜は、塩コショウ、バーニャカウダーソースなどを付けて食べる。パンはカンパーニュをまるごと。自分で切って食べる。バターを頼んだら笑顔で出してくれた。パン好きの娘は(そして野菜が苦手な娘は)、最初こればかり食べていた。ちょっとだけ残念だったのが、一度にもらえるバターが少ないこと。3回も!おかわりしたが、さすがに4回めを躊躇した。「有料でいいから、たくさんちょうだい」と思ってしまう。次回は買って持ち込もうかとも思ってしまう。まあ、3回もおかわりしておいて、このクレームもないが(笑)。

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メニューはテーブルクロスとして使われる紙にかかれている。クレヨンでも貸してくれれば、子どもたちが喜んで絵を描きそうだ。

食後は、お風呂。共同で、かなり広い。浴槽はステンレス製で浅く、つるつる滑る。前日は東京でも雪が降ったという冷え込み。この日はずいぶん暖かくはなったものの、それでも3月の気温だとかなり凍える寒さ。お風呂で温まった体もすぐに冷えてくる。電気毛布が入っているが、これがちょっとだけ熱すぎて、温度調整が難しい。

テントの中の難点としては、もうひとつ、湿度の問題。前日の雨で空気が湿っており、テント内外の温度差から布団の表面がしっとり濡れてしまっていた。これも寒さの原因だろう。ふとんは普通の布団で、(おそらく)キャンプ用品ではないため、こうした水分対策が十分にされているようには思えなかった。ベッドで普段通り眠れるのは良いけれど、自然環境とのすり合わせはなかなか難しいと感じた。

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朝食はピクニックで食べられるように考えられたセット。くるんであるのは食パン。ジャムを付けて食べる。肌寒かったのでサロンで食べた。

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その後、サロンでちょっと仕事をして(娘はかいけつゾロリを読んで)、駅に移動。残念ながら移動手段が少なく、タクシーで駅まで2,500円。バスもあるけれど一日5本ほどで、しかも宿泊施設から10分ほどあるくことになるのだそう。

泊まれる公園「INN THE PARK」の可能性

ひとつには、田舎にはどこにでもある自然が、球体形テントを置くだけで立派な宿泊施設になってしまうということ。自然がすぐそばにあるという感覚は、都会ではなかなか味わえない。自然という資源を最大限に活用する方法として、ほかでも応用が可能だろう。私の関わっている日本遺産であれば、さらにここに文化財を絡めていくこともできるだろう。地域の生活文化との接点が作れれば、さらに面白そうだ。 

食事についても、味は美味しいけれど、高級料理ではない。地場のものを使った素朴なものだ。手の込んだスペアリブなどは地域のレストランからの提供となっている。料理スキルのある特別な人的リソースをもたなくても提供可能だ。内容もさることながら、ピクニック用の朝食など、食事の楽しみ方を提案していて、これもまたいろいろ応用できそうだ。

さらに、今後も発展していきそうな雰囲気をもっていることも指摘しておきたい。ディズニーランドなどのアミューズメントパークも、新しいアトラクションを加えていくことでリピーターを獲得している。ちょうど新しいテントを設置中だった。公園の所々に何も書かれていない看板が置かれていた。公園の中にはがらんとした空間がまだまだ残っている。「また何か作っているな」という発展途上の雰囲気は、再訪の大きな要因になると思う。逆に言えば、完成されてしまったという雰囲気を出す必要もないのだ。

一方で、地元の人が慣れ親しんだ少年自然の家が、こういうふうに変わってしまうことの戸惑いもあるだろう。帰りのタクシー運転手さんは、「お高いんでしょ。そういう噂です」と言っていて、たしかにテントでは食事も合わせてひとり15,000円ほどになる。従来の自然の家の価格体系からは考えられない。このあたりは、なかなか判断が難しい。

 

www.innthepark.jp