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日本遺産事業で、収益事業のトライアルを行う

日本遺産プロデューサーとして文化庁の仕事を行なっている。日本遺産とは、簡単に言えば文化財を活用した地域活性化の事業である。地域の文化財を観光や商品開発などに活用し、その結果、地域を活性化していく。その補助金として、おおよそだが初年度4000万円、二年目2000万円、三年目1000万円ほどのお金が出る。この補助金を使って助走し、四年目には自走してほしい(自分たちの力で地域活性化を進めてほしい)。これが日本遺産における文化庁のスタンスである。

合計7000万円のお金。見方によっては多くも少なくもある補助金だけれども、新規事業のお手伝いをしている感覚からすれば、十分すぎるほどのお金である。初回のトライアルは、エンジェルから投資される数百万円なんてことも普通なところ、いきなり千万単位でお金が落ちるわけである。

 しかしこのお金の意味づけによっては、全然足りないという話にもなる。広告キャンペーンを行うという文脈では、砂漠に水まくような金額である。ブランドもつくれない。広告代理店からすれば、「一桁足りない」話だ。

だからこそ、日本遺産認定地域の意識が重要になる。自走する事業を立ち上げるお金として使うのであれば、必然的にそのようなトライアルへの「投資」ということになる。小さく産んで大きく育てるために、Viableな(生き残ることのできる)事業を企画することになる。それは、大きな広告費が前提となるような大事業ではなく、小さいながらも自分の売り上げで回る事業、ということだ。

しかし、こうした事業開発の考え方は、地方自治体には馴染まない。基本的に税金を使うコストセンターであり、プロフィットセンターではないからだ。日本遺産の協議会も、その意識で運営しているところは多い。そういうところは、いざ四年目になっても自走資金に目処が立たずに、自治体からの資金で運営せざるを得なくなってしまう。

根本的に、発想を変える必要がある。事業開発という視点でいけば、たとえばではあるが次のような事業を、補助金で取り組むことが必要だ。

・日本遺産の地域ブランドによるロイヤリティ事業を実現するための、ブランド開発

・収益の確保できるようなイベント事業を実現するための、トライアルイベント実施

・収益があがるような旅行商品を造成するための、トライアルツアー実施

・広告収益をあげられるようなメディア立ち上げ。

そしてこのいずれも、初回から売り上げをあげていけるような仕掛けにしておく必要がある。無償で実施しても、有償での成功には繋がらない。小さな額でもいいので、ロイヤリティやイベント収益、ツアー費用、広告費を稼ぐのである。

そうしたトライアルから学ぶ。一回きりの広告キャンペーンにはない、有効な補助金活用だろう。

 

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