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分析単位を「行動」から「活動」へと変えることで「成ることの理論」が生まれる

 この記事の続きです。

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心理学が「行動」を分析単位としてきたが、それは不十分だった。社会文化歴史性を無視することになるし、新しいものを生成する主体としての人間も無視してしまうことになる。行動を単位として研究することによって、人間を変わらないものとして扱ってしまうことになる。

「行動」に代わって、ホルツマンが分析単位としてあげるのが「活動」である。マルクスがそうしたように、個人を社会的存在と捉え、社会によって作られ、また社会を作り出す存在として、人間を「活動する者」と捉えた。

こうした活動は、社会を変え、文化を創造し、歴史を生み出す。そしてその社会文化歴史によって人間もまた変わる。活動により人間と世界が生成変化するのである。ホルツマンはヴィゴツキーの仕事を「心の理論(theory of mind)」ではなく、「成ることの理論(theory of becoming)と捉える。存在の状態ではなく生成に関わるものであり、心理学が「であるもの」の研究から「生成しつつあるもの」の研究に移行する基礎が与えられたのだと指摘する。

 

 

遊ぶヴィゴツキー: 生成の心理学へ

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