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縄文人「土蜘蛛」の怨念とその現代的意味

11月29日に演じる予定の能「土蜘」に、いろいろな因縁を感じる。

「土蜘蛛」とは、もともとヤマト王朝に従わなかった氏族に付けられた蔑称であり、滅ぼされたあとも怨霊となって都の人々を脅かした御霊である。もともと日本に住んでいたということであれば、当然、縄文人の流れをくむ氏族であった。

能では、葛城山に住む土蜘蛛の霊魂が僧侶に化け、源頼光に近づく。天皇の世を騒がせようという目的なのだが、それを果たせず、独武者によって切り伏せられてしまう。

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この葛城山には一言主神社があり、今も土蜘蛛を祀る蜘蛛塚が存在している。こうした弥生人による縄文人の征服・融合というテーマは、古事記・日本書紀で何度も繰り返される。スサノオは高天原で暴れて畦を壊す。スサノオはおそらく縄文人である。弥生人の稲作を妨害し、その行為は天つ罪として厳しく禁じられた。

今回、「土蜘」を演じることになる。縄文人となり、「君が代に障りをなさん」として、頼光に近づき蜘蛛の糸を吐きかける。こうした因縁をどのように自分のこととして引き受けるのか。首を落とされる土蜘蛛が、その怨念を昇華するにはどうすればいいのか。広義の縄文文化圏である福島や沖縄が落ち着かない中、土蜘蛛に向き合うことによって何かしらのヒントが得られるのではないかと思っている。

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葛城一言主神社の蜘蛛塚