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思想の回復に向けて

『言語論的転回』がおこり、普遍的真理はない(というニヒリズム)によって、思想の重要性が失われたという指摘。平成を振り返る上でも、日本における思想的な停滞に目を向けることは重要だろう。

ta26.hatenablog.com

日本では思想すること、宗教や道徳、倫理について議論することが、それ以前と比較しても、本当に少なくなってしまった。同時並行で、コミュニティの崩壊も進んだこともあって、人々の行動の動機も、『金銭的な多寡』や『損得勘定』しかなくなり、『損得勘定を超えた止むに止まれぬ行動』とか『価値や大切な人のために命をかける』というような規範的な行動を目にすることは滅多になくなってしまった。利他主義に基づく社会規範的行動は、どんどん後退して、互恵性に基づく市場規範的な行動ばかりが前景化した。

こうした現状を打破する世界的な動きのひとつとして、実在論的転回が指摘されている。

私たちは思考と存在の相関のみにアクセスできるのであり、一方の項のみへのアクセスはできない。したがって今後、そのように理解された相関の乗り越え不可能な性格を認めるという思考のあらゆる傾向を、相関主義と呼ぶことにしよう。そうすると、素朴実在論であることを望まないあらゆる哲学は、相関主義の一種になったと言うことができる。

メイヤスーによれば、こうした「相関主義」は、20世紀の現象学であれ、分析哲学であれ、免れてはいません。そして、言うまでもなく、言語論的転回やポストモダン思想も例外ではありません。メイヤスーはこうした相関主義を乗り越え、思考から独立した「存在」へと向かうのです。 

diamond.jp

メイヤスーによれば、カントの超越論的観念論(認識論的転回)も、20世紀の言語論的転回も、ポストモダン思想も、相関主義に他ならず、批判されなくてはならないのです。

この夏はカントに取り組んでいて、ここでいう「カントの超越論的観念論(認識論的転回)」の問題にまずあたっているところで、なかなか追いついていない……。