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人にあてて贈与するのではなく、〈場〉にこそ与贈すべきである

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人に期待すると裏切られることはある。これはしょうがない。そういうものだから。期待するのが間違っていると思う。そういう意味で、過度な期待はせず、しかししっかり関わっていこうという意味で、前回の記事を書いた。 

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 別の言い方をすれば、贈与を人に対して行う場合において、それが返ってくるという期待をしてしまいがちだが、それは間違っているということだ。贈与は地域を開く鍵であるが、万能ではない。簡単に「余計なお世話」に転じるだろう。

しかし、人に対してではなく地域への贈与はどうだろうか。この場合、場の研究所の清水先生の言葉を借りて与贈と呼びたい。返礼を期待しない贈与のことである。震災後、石巻に入りヘドロかきなどのボランティア活動を行ったが、これは人に対してではなく、あくまで石巻という地域に向けてであった。ヘドロを撤去してきれいになった道をみて、感動を覚えた。その感動が返礼だった。この場合の地域は、〈場〉と呼んだほうがいいだろう。

〈場〉への贈与は、返礼してくれる主体が想定できないから、返礼を求めることもなくなる。その結果、与贈となる。そして〈場〉への与贈は、その与贈そのものが感動というような返礼をもたらしてくれる。震災のボランティアまで話を広げなくても、道のゴミを拾ったり、雑草をきれいにしたりという小さな与贈は、誰もが経験しているだろう。その与贈から、感動というほどでなくとも、清々しさを感じるはずだ。

日本遺産のプロジェクトも、僕は地域の人に会い、地域の人と話を、地域の人に関わっているが、目線はそのさきの〈場〉にある。仮に地域の人に嫌われても(そういうことは実際起こっている。「中央」から「派遣」される「プロデューサー」に好意なんか持たないだろう)、しかし、より本質的には歴史を内包した豊かな〈場〉としての地域に、真正面に向き合おうと思っている。そしてそれは、その瞬間に返礼を受けている。その瞬間に救われているのである。

だからこそ、人にあてて贈与するのではなく、〈場〉に与贈すべきである。