LIFEHACK STREET 小山龍介ブログ

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おもてなしにおける時間と空間のデザイン

経験をデザインするときに、そのデザインは空間と時間をデザインすることになります。モノが、そこにただあればいい、ということではなく、そのモノが〈いつ〉〈どこに〉あるのかが問われるわけです。コンテキスト(文脈)が問われるわけです。

ただお菓子が置かれていても価値は生まれません。食事の後のデザートとして置かれるのか、煮詰まった会議のなかで差し出されるのかによって、全然異なります。モノそのものではなく、モノが置かれているコンテキストが重要になるわけです。

このコンテキストというのは、さざまなな人の関係性によって生まれます。会話も、ひとり別の人が加わるだけでまったく違うものになります。関係している人、関係の仕方によって、ぜんぜん違うコンテキストが一瞬のうちに現れるのです。

そうなってくると、あらかじめ準備しておくとか、ルールを決めておくとか、コンテキストの変化を分析して対応するといったことは、なかなかできません。予測できない変化が、断続的に起こってくるからです。(そこに即興性ということが必要になってくる。能も禅も茶道も、その本質には即興がある。)

そうした絶え間ない変化が起こる時間と空間をデザインするとき、それは必然的に動的なデザインという話になります。モノがコンテキストに依存するだけでなく、モノもまた、参加者のひとりとしてコンテキストを変えていく。そういう相互依存の関係性があるわけです。

主客非分離という言葉がありますが、もっとインタラクティブな関係性を前提に言えば、主体であり客体であるという二重性なんだと思います。波であり粒でもある光のように、モノも(そして我々も)また主体でありながら、同時に客体であるわけです。それは一義的には決まらない。

そんなふうに曖昧さを楽しんできたのが日本文化なんです。「お・も・て・な・し」には、こうしたコンテキストのデザインが潜んでいるわけです。

と、そんなデザインをつくっていくため、デザイナーの山内真一さんと会社コンポジション・ワークスを始動させました。今後の活動に乞うご期待!

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