LIFEHACK STREET 小山龍介ブログ

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「役に立つ」の時間軸を長くとる

インド人が0を発見したときのように、見つけた事実がすぐに、だれもが役立てることができる時代だったのならば、利便性を重視し、第一に考え、科学にそれを求めてもなんら問題は起きなかっただろう。けれどもうすでに、人が探求する真理に、人自体が追いついていない。湯川先生が中間子を発見した、さて、じゃあ次の日にその中間子を、世界中のすべての人間が実用できただろうか? いや、できていない。それは湯川先生の発見が「役に立たない発見」だったのではなく、人類が「まだ役立てることができない人類」だったのだ。

「なんの役に立つんですか?」の暴力性 - 最果タヒ ノ 森山森子

「それが何の役に立つんですか?」と聞く人はたいてい、数ヶ月、いや明日にでも役立つものを求めている。僕がライフハックの本を書くときも、そうした声に答えるべく「今日から役立つ」テクニックを紹介してきた。

しかし、そうした「すぐ役立つ」テクニックというのは、賞味期限も短い。かけた時間の分だけ、その知識やテクニックというのは効果を発揮する。楽器はすぐには弾けないが、その分、表現の奥深さには際限がない。短時間での再現性なんか求めるのではなく、長い時間の際限のなさこそ追求すべきではないだろうか。

たとえば、3年前からギターを始めて、バンドを結成し、昨年からは能の稽古を始めた。こうした活動は、すぐには役立たないし、将来役に立つかもわからない。けれど、必ず役立つという直感がある。今の僕には役立てることのできないことだけれども、将来においてはきっと、こうした活動で得られた知見を活かすことができると感じているのだ。 

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