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大坂なおみのロボットモードから学ぶ集中力の高め方

大坂なおみの全豪オープン決勝。第二セットの最後、1ポイントでも取れば優勝できるというチャンピオンシップポイントを3回握ったが、そこから逆転で落とした。大坂選手は油断したと思う。この試合で唯一の場面だったと思うが、チャンピオンシップポイントのワンプレーの中で、相手選手のリターンを褒めた。褒める余裕があった。なぜなら、ほぼ勝利が間違いなくなったからだ(そしてそれは、錯覚だった)。

この余裕を見せた大坂はその後、次々とミスを重ね、そのミスに対してボールを叩きつけて悔しがった(このビデオの1:30ごろ)。セットを落として感情を露わに、泣きながら控室に戻っていった大坂なおみ選手を見て、「ひょっとして負けるかも」と思った人は僕だけではないはず。

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しかしそこから驚異的な集中力を見せる。第3セットはほとんど心配することがないほどのプレーだった。もちろん客観的には競り合ってはいたが、勝負はついていたように見えた。点を取っても失っても、またギリギリのチャレンジが成功しても、大坂なおみ選手は第3セット、ポーカーフェイスを崩すことがなかった。

それは本人の言葉でいえば、「ロボットみたいに命令を実行していただけ」ということになる。

3本のマッチポイントを逃して第2セットを落とし、迎えた最終セットは「空洞だった。ロボットみたいに命令を実行していただけ」。それでも勝利をもぎ取った。

 

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第3セットの開始直後、ポーカーフェイスの大坂選手を見て解説者が「落ち込んでいるとは思いますが、その分エネルギーを出さないといけないです」と解説した。「ロボットみたい」になった大坂選手は、一瞬、「もう試合を諦めたのか」というような静けさをたたえていた。それが諦めではなかったことは、その後のプレーの質で証明したが、あの一瞬は本当に不思議な感じがした。僕もまた、「あれ? 勝ち負けはどうでもよくなったのかな」と錯覚した。

いや、錯覚ではなかったと思う。たしかに大坂選手は最終的な「勝ち負け」をすっかり放り出したのだと思う。「空洞」になってプレーの一つ一つを命令のようにこなしていった。そこで発揮された集中力は、しかし結果として全豪オープンという大きな舞台での勝利を、しっかりと手繰り寄せた。

大坂なおみ選手から学べる教訓があるとしたら、こうだ。結果を気にする段階で僕らは負けている。結果への執着を手放した先に、しかし結果がついてくる。迷ったときほど、目の前の命令だけをこなすロボットになれ、ということだろう。