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SEALDsを煽る大人の罪

正直、SEALDsを持ち上げ、煽る大人には、ちょっと引いてしまうところがある。行動のもたらす結果について理解するためには、知性が必要である。「戦争なくせ」と叫んで戦争がなくなるのであればいいけれど、現実はそうではない。

SEALDsの動きは、軽視してはいけない。うしろにサヨクがついているという指摘もあるけれど、それでは説明できないダイナミズムがある。熱狂によってものごとが動くことがある。アラブの春や香港や台湾のデモなど、世界各国でそうした動きがでてきている。今回は安保法案を廃案にするまでにはいたらなかったけれど、そうならないという確証もない。

安保法案が仮に通らなかったら、日本を取り巻く安全保障の環境は大きく影響を受けただろう。それは安保法案が通ることよりも大きい。アメリカは日本を本気で守ることはできなくなる。

今回の法案は「アメリカが日本を守るときに限り、日本はアメリカを支援する」というなんとも自己中心的な話だけれども、それすら法案として通らなければ、アメリカの世論が黙っていない。中国はここぞとばかりに尖閣諸島での衝突を演出するだろう。(漁船衝突事件は、民主党の政権への揺さぶりだった。)アメリカは「尖閣諸島の領有については関与しない」という立場を取るしかなくなる。日本は自分で自分の身を守る、つまり右翼も願っている自主防衛の方向に舵を切ることになる。それこそ徴兵制も見据えた法整備が行われることになるだろう。

SEALDsがそういう世界を目指しているわけではない。が、彼らの行動はそういうシナリオを引き寄せるものだ。

正直、SEALDsの若者がそういう行動をとってしまうのは、若さゆえのものであり仕方がない。問題は、そうした若者の行動を煽る大人だ。民主党はSEALDsと連携している場合じゃない。反安保で共闘するというが、それは現在の「国際秩序への挑戦」ですらある。

民主党時代、中国漁船衝突問題を経験し、その後、アメリカから安保の範囲内という確約を改めて取る外交努力もしている。今回の集団的自衛権の重要性は痛いほど理解しているだろう。しかし、彼らにとって優先させられるのは、安倍総理が窮地に陥り政権が戻ってくることにある。反安保によって得られる民主党の「平和」とは、いったいどのようなものなのか。今回の騒動は、山本太郎がいうような自民党の告別式ではなく、民主党の告別式のように思えて仕方がない。

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