イノベーションを生み出す３つのプロセス

イノベーションを生み出すためには、３つのプロセスが必要になる。その業界を構造化して把握する分析的なアプローチは欠かせないが、それだけではイノベーションは起こせない。そこにアート的なアプローチが必要になる。

アートは、常識に揺さぶりをかける営みである。一見非常識なものを投げ入れ、波紋を呼ぶ。美術館にある現代アートは、ときに不安を呼び起こすものも多いが、それは常識を揺さぶられているからである。

そのうえで、現実的なビジネスへと落としこむことになる。これがデザインのはたらきである。20世紀に生まれた抽象絵画やシュールレアリスムは、数十年経って、しっかりとプロダクトデザイン、インテリアデザイン、ファッションなどに着地していった。これはまさにデザイナーによる成果である。

イノベーションにも、この３つのプロセスが必要であり、ときにそれは別々の人が行うことになるのかもしれない。芸術家はデザイナーではないし、エンジニアはデザイナーではないのかもしれない。しかし、イノベーションを起こすには、この異なる領域を仕切る境界を超える必要があり、タクラムエンジニアリングがこの3領域を牛若丸のように飛び越えているように、境界を超えて行き来すべきなのだろう。