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オートポイエティックな行為としてのインプロビゼーション

インプロヴィゼーションをやっていると、自分の中のストックが枯渇する経験をします。「好きなように動いて」と言われて動いても、その動きはパターンにはまっていきます。おそらく優れたダンサーであれば、相当なバラエティの動きができるかもしれませんが、それでも限界はあるでしょう。

インプロのよいところは、こうした自分の限界に向かい合うことができる点であり、これは同時に、誤解を受けるところでもあるように思います。インプロする主体が限界を持っている以上、その主体が行うインプロの創造性には限界があるのだ、と。

しかしこの指摘は半分あたっていて、半分間違っています。主体というふうに主客分離したかたちで行うインプロであれば、この指摘は正しいでしょう。しかし優れたインプロは、自己と他者との境界を消失させ、その間にアイデアを出現させるのです。

インプロを個人のアイデア発想の手段として捉えていると、そこには自ずと限界が出てきます。しかし他者とのかかわり合い、自己と他者の境界をなくしオートポイエティックな創造行為として捉えるのであれば、その可能性は大きく広がります。