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型の言語化

「伝統」が生まれるには、規範となる型が、かなりの部分、言語化されたかたちで引き継がれていく必要がある。たとえば歌舞伎。江戸時代の大衆の娯楽であった歌舞伎は、多くの人の努力や取り組みにより「伝統芸能」としての地位を築いた。

演劇改良運動など明治の激動を駆け抜けた九代目市川團十郎や五代目尾上菊五郎は、「活歴物」や「散切物」などの新しい演劇に取り組む一方で、古典においても型を整備したが、それが雑誌『歌舞伎』が文字として書き留めることによって、演者だけでなく観客にも共有されることになった。

型のすべてを言語化することは不可能で、だからこそ口伝での伝達が欠かせないのが芸能ではあるが、しかしそれが「伝統」となるためには、矛盾するようではあるけれど、言語化による共有というプロセスが欠かせない。そしてこの言語化のプロセスがまた実演者にフィードバックされて、型のさらなる意識化をもたらす。このあたりは、野中郁次郎先生の暗黙知と形式知を思い出させる。

 

というようなことを、京都造形芸術大学のレポートの書きました。

 

www.kyoto-art.ac.jp